注文住宅で家を建てて9月下旬に引っ越したが、今のところ大満足で快適そのものだ。注文住宅は一大エンターテインメントで、間取りやデザインや設備を自由に選べる楽しさがある(もちろん予算との相談は必要だが)。
一方で、住宅に関する知識がないと騙される世界でもあると感じた。
以下に、最低限持っているとよい知識、自分好みの内装、設備を揃える方法をまとめる。
TL; DR
- YouTubeに住宅の性能に関する情報があるので無料で知識はつけられる
- キッチンは沼
- 設備の雑多なよかったところ悪かったところの羅列
住宅の性能
モデルルームやルームツアー動画を見るとき、間取りやインテリアや設備などの目に見える部分、ソフトウェアで言えばUIにあたる部分に注目しがちである。
一方で、安全性、光熱費、快適な室温など目に見えないけど住環境として重要になるポイントも存在する。そしてそれらは目に見えないがゆえに、マーケティングで訴求しにくく、今まであまり喧伝されてないので、蔑ろにされがちだったように思われる。 1
幸い、ある程度の知識はYouTubeや書籍などから簡単に得られる。以下にYouTubeの動画を貼り付けていく。
耐震性
耐震等級という基準で表現される。
耐震等級3の家でないと震度7の地震に耐えられないことがあるため、耐震等級3はマストだろう。また、許容応力度計算がされることでより確実に耐震性を担保できる。
ただ、耐震性のために間取りに制約が生まれることにもなって、ここは設計者のスキルが見え隠れするポイントでもある。
断熱性
夏の暑さや冬の寒さを防ぐため、断熱性は非常に重要。断熱性能が低いとエアコンの消費電力が高くなる。
また、家全体の温度を一定に、ある程度以上保つことで、健康を担保できるようにもなる。
気密性
断熱しても気密性が低いと暑い/寒い外気が入ってきてしまう。また、気密性は換気性能にも影響する。
気密性はC値という指標で測る。これは、家中に空いている小さな隙間を全部集めたらどのくらいになるのか、という指標。
日射取得
太陽の熱をうまく利用するため、軒や庇を活用し、夏は日光を遮り、冬は取り入れる工夫が必要になる。
冬場の日射はコストがかからない暖房器具になるので、冬場に日射取得をすることで暖房のコストを抑えることが出来る。
間取り
便利な家事動線を考えた間取りを取り入れると、日々の家事がぐっと楽になる。
例えば、洗濯のワークフローは
- 服を脱いで洗濯機に入れる
- 洗濯機を回す
- 洗濯物を干す・乾かす
- 洗濯物を畳む
- 洗濯物をしまう
という感じなところ、服を脱ぐ場所、洗濯機の場所、畳む場所、服をしまう場所が近ければ近いほど、動きが少なくて済むため、効率が良くなる。
実際に、引っ越すまでは洗濯機で乾かしてからリビングに持って行って畳むまではやってたけど各位のクローゼットに持って行ってしまうのがめちゃくちゃダルくて無限にリビングに畳まれた洗濯物が鎮座していためんどくさがりな性格の私が、余裕で洗濯物をファミリークロークにしまっているので家事楽導線こそ正義といえる。
YouTubeで「家事楽動線」と検索していくつか動画をみてみるとポイントが抑えられると思う。
インテリアのスタイル
インテリアのスタイルを選ぶ際は、まず自分がどんなテイストを好むかを理解して、それをしっかり発注することが重要。
インテリアのスタイルにはナチュラル、モダン、クラシック、インダストリアルなどいろいろあるが、そのスタイルを実現するにはかなり意志を持って統一感を出さないと中途半端になってしまうのではないかと思う。
心地いいわが家のつくり方 01 インテリアの基本にスタイル別のインテリアの写真が掲載されていて、これで自分の好みのスタイルを見つけるとよい。
自分が好きなスタイルを明確にすると、Pinterestでの検索にも役立つキーワードが手に入る。
たとえばSimple modern house interiorで検索するとこんな感じ。さらに階段が見たければSimple modern house interior stairwayなどと絞り込めばよい。
気に入ったものをピンしておけば、そのスタイルの中でもさらに自分の好みがわかってくるし、URLを担当者に共有して「こんな感じにしてください〜」とお願いするのも捗る。
設計担当者が自分の好みを完璧に汲み取ってくれるわけではないので、こちらから具体的なリクエストをしっかりと伝えることが重要。
私のケースでは、イメージの写真を共有し、担当設計士にパースを作ってもらって、お互いのイメージをすり合わせてもらえたのでかなり想像通りの好みの内装に仕上げてもらえた。
照明
シーリングライトは明るすぎるので、間接照明やタスクライトを意識して配置すると、落ち着いた雰囲気が出る。
暮らしのシーン別 照明設計の教科書で基礎を学んで、や庭と住まいの照明手帖で理想が学べる。 2
あと、ミーハーなのでダイニングのペンダントライトにPH5を導入した。
人感センサー
居室以外はすべて人感センサーにしてスイッチを操作しなくて済むようにした。トイレ、廊下、階段、脱衣室など。トイレに長居するときに阿波踊りするのはご愛敬。
なんかめちゃくちゃ楽な気がする。意外と電気をつける・消すのってストレスやったんかもしれん。
ちなみに居室のスイッチはPanasonicのアドバンスシリーズ リンクプラスにしてGoogle Homeからオンオフできるようにしている。いまのところ音声での操作はそんなにしてないが、やりたくなったらできるというのが重要と思うことにしている。
床材
大抵のモデルルームではスリッパを出してくれるが、Wellnest Homeのモデルハウスではスリッパが出されず無垢のフローリングを体験させる見学のデザインになっていて、靴下越しの無垢床の感覚は良くて無垢床にしたいと思わされたので、狙い通りのUXになってると感心した。
マルホンのショールームに行くと、実際にいろんな種類の木を踏ませてくれる。木によって柔らかさと冷たさが結構違うのは面白い。
暗めがいいな〜というのでウォルナットが理想やったけど高いので、コスパいいと紹介してもらったククにした。好みとコストのバランスをショールームで相談できるのはよかった。
壁材
左官には調湿効果があるとされているが、担当者からは過度な期待は禁物とアドバイスを受けた。
実際に左官にしてもらったが、調湿効果はまだよくわからんという感じ。次の冬と夏でわかるんかもしれん。
壁に蚊が止まってたので叩いたら血を吸っててシミになってしまった。重曹とかで取れるらしいのでまあええかとなっている。最終手段として上から塗るというのが残されてもいる。
ドア
引き戸は全て神谷コーポレーションのフルハイトドアにした。
見栄えがいいのはもちろん、床にレールがないのでホコリが溜まらないのが地味に嬉しい。
ユニットバス
壁に鏡や棚など極力なにも設置せず掃除しやすいようにしておき、磁石でくっつくカゴにシャンプーとかは入れけばよい。というのが最近の流行。確かにワイパーが楽。
オーバーヘッドシャワーをつけたらシャンプーのときに下を向く必要がなくて、絶妙に楽になった。妻は「いらんやろ」と言ってたけど、体験してみて「めっちゃええやん」となっていた。
乾太くん
乾太くんというガス式乾燥機がある。壁にデカ穴を開ける必要があるので実質的に一戸建てにしか設置できないらしい。
ドラム式洗濯機だと洗濯から乾燥まで一気通貫に終わりそうだが、タンブラー乾燥NGな衣類はかなり存在するので結局乾燥機にいれるかどうかをより分ける必要があるなら縦型洗濯機と乾太くんでええやん、となった。
乾太くんはかなり強力で、40分くらいでマジで完璧に乾いてた。縦型洗濯機の乾燥機で2時間を2回かけて乾かしてたのがアホらしくなってくるくらい強力。
トイレ
浮いてて掃除しやすいやつとかも見たけど、結局普通のにした。
めっちゃカッコイイやつにしたいとか思ったけど、さすがにこの価格を出すほどトイレにこだわりは持ってなかった。
キッチン
キッチンは特にこだわった。キッチン選びはかなりの沼にハマる覚悟が必要。
クリナップやTOTO、LIXIL、パナソニック、タカラスタンダードなどのメジャーブランドのショールームに足を運び、それぞれの特徴を実際に見てみると良い。良い感じのステンレス、3列横並びIHコンロ、汚れの落としやすいホーロー、みたいな各社の特色が見えてくる。
ルームツアー動画御用達のkitchenhouse / GRAFTEKTには見に行かなかったのはちょっと悔やまれる(最終的な選択は変わらないだろうが)。今年に入ってGRAFTEKTはバリエーション増やして推されてるっぽいのでちょい高オシャレキッチンならGRAFTEKTを見てみるといいんかもしれん。
クリナップのセントロのクラフツマンデッキシンクにたどり着いたときに、デッキ部も洗い流せてこれが自分の理想と一番近いよな〜となったが、スペースが小さい気がしたので踏ん切りがつかなかった。
ややコンセプトの似ていたトーヨーキッチンスタイルのパラレロはショールームで触ってみたところ、思ったよりも上半身の力を使う必要があって大変そうだったのであまり刺さらなかった。
この段階でキッチンの方向性が完全に迷子になっていたが、REAL KICHEN&INTERIORのムックを読んで、デザインキッチンの新しい選び方: 設計者とインテリアコーディネーターが知っておきたいをさらえることで世界を広げることができた。
最終的には、トヨウラにお願いして、洗える清潔キッチンをベースに要望を聞いてもらった。3
クリナップの引き出しの感覚が好きだったので、引き出しの金具にBlumのLEGRABOXをリクエストしたらいい感じにとりつけてくれた。なんでそんなメーカー知ってんねんというツッコミは受けた。
トヨウラの渋谷ショールームでは海外製の大型食洗機が揃ってるので、各社の違いとかもわかりやすく説明して貰えて満足度が高い。妻がコンフォートリフトが良いとのことでAEGを選んだが、納品時に日本撤退を知らされた😇
流しが洗えるのはかなり良い体験で、揚げ物のときにこぼした粉、肉のドリップとかを洗剤をつけたスポンジでゴシゴシ洗って水で流せるのはかなり気持ちいい。パスタのゆで汁をシンクまで行かずに捨てれるのもアド。コンロ側にも水栓があるので、鍋に水を入れるときにもシンクまで移動しなくてもいいのもポイント。
動線を考えたらシンクの下にゴミ箱置くのが理想的だと常々思ってたけど、実際に料理中に流し、シンクで出たゴミを動作少なく捨てれるのは非常に楽。液体てきな汚れが床に付くリスクが圧倒的に減った。
作業スペース近くにコンセントがあると便利。キッチンにこだわる人間は、いずれハンドミキサーと低温調理器を買う運命にあるので電源を確保しておくと良い。
ただ、流しに水を流すときはめっちゃ水はねするので付近を布巾で拭く必要があるのは使ってみてわかったデメリット。まあでも汚しても洗える気持ちよさの方が勝ってるのでヨシ。
やっちまったこと
スロップシンク
子供がいろんな汚れを服につけまくるのでオキシ漬けするのにスロップシンクが欲しかった。
洗面器でのオキシ漬けに比べると、スロップシンクは遙かに使い勝手が良い。それはそう。
ただ、オシャレなスロップシンクにしたろ〜と思ってオーバーフローなしのスロップシンクにしたら、水が溜められなかった。それはそう。
無理矢理溜めれるように追加工事をしてもらって便利な生活を手に入れたけど、水が溢れるリスクも負っている。
階段の幅
わが家は2階リビングである。階段の幅が700mmほどなのだが、使っていた冷蔵庫が680mmで、引っ越しの時の養生とかでギリギリ通れなくて詰んだ。
そのため、引っ越しの翌日にヨドバシカメラでの強制買い換えクエストが発生した。悔しいのでインテリアに合う色の冷蔵庫にしたので逆に満足している。
まとめ
雑多にいろんな要素を書き殴ったが、長年住む家をカスタムする楽しみを得られるのは最高のエンターテインメントだった。
楽しさの種類はミニ四駆と似ている。どんな パーツ
/ 設備
をつけたら 速く走れる
/ 快適に暮らせるか
を突き詰めていく感覚。
引換に大きめの負債を負うことにはなるので頑張って返済していきましょう。
Footnotes
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大手ハウスメーカーのモデルハウスに見学に行ったときに営業から「いい給湯器にしたらUA値が良くなる」というトークをされた。UA値の定義を知っていれば、給湯器がUA値に影響を与えることはない、ということがわかり、この営業がUA値を理解していないかこちらを騙そうとしているか、いずれにしても信用してはならない人物だということがわかる。 ↩
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担当設計士から「こんな本があって……」と『庭と住まいの照明手帖』を出されたので「それ持っててそれみたいにして欲しいです!」となったのでめちゃくちゃ話が早かった ↩
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ちなみにトヨウラの渋谷ショールームの下にあるここら屋という居酒屋がめっちゃ好きで、京都に住んでるときからしばしば通ってて、東京にもあるんかい!となった。 ↩